滞納について

【滞納処分の執行停止】3つの要件。時効短縮し納税が楽になる。

滞納処分の執行停止」という法令をご存知でしょうか。

はぴらきママ
はぴらきママ
簡単に教えてよ!!
はぴらきパパ
はぴらきパパ
この法律は、滞納している人の財産の差し押さえが出来ないと判断したときに適用できる法律なんだよ。詳しく見てみよう!

地方自治体の徴税吏員や、滞納者自身に向けて詳しく書いています。徴税吏員の方は理解を深める参考として、滞納者の方は、「こういった納税相談方法もあるんだな」と思ってもらうために書きました。

滞納処分の執行停止の法令

はぴらきパパ
はぴらきパパ
難しい言葉が並びますが、滞納処分の執行停止という法令を先ずは確認しましょう。

国税徴収法第153条

国税徴収法第153条

(滞納処分の停止の要件等)
第一五三条 税務署長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる
一 滞納処分の執行及び租税条約等(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号)第二条第二号(定義)に規定する租税条約等をいう。)の規定に基づく当該租税条約等の相手国等(同条第三号に規定する相手国等をいう。)に対する共助対象国税(同法第十一条の二第一項(国税の徴収の共助)に規定する共助対象国税をいう。)の徴収の共助の要請による徴収(以下この項において「滞納処分の執行等」という。)をすることができる財産がないとき。
二 滞納処分の執行等をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
三 その所在及び滞納処分の執行等をすることができる財産がともに不明であるとき。
2 税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない
3 税務署長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る国税について差し押さえた財産があるときは、その差押えを解除しなければならない。
4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した国税を納付する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その国税が限定承認に係るものであるとき、その他その国税を徴収することができないことが明らかであるときは、税務署長は、前項の規定にかかわらず、その国税を納付する義務を直ちに消滅させることができる。

地方税法第15条の7

地方税法第15条の7

(滞納処分の停止の要件等)
第十五条の七 地方団体の長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる
一 滞納処分をすることができる財産がないとき。
二 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
三 その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき。
2 地方団体の長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない
3 地方団体の長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る地方団体の徴収金について差し押さえた財産があるときは、その差押えを解除しなければならない。
4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その地方団体の徴収金が限定承認に係るものであるとき、その他その地方団体の徴収金を徴収することができないことが明らかであるときは、地方団体の長は、前項の規定にかかわらず、その地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を直ちに消滅させることができる。

基本的に国税徴収法も地方税法も内容は同じになります。ここからは、地方税法の法令文を引用し、詳しく説明していきます。

滞納処分の執行停止となる法律要件

  1. 滞納処分をすることができる財産がないとき。
  2. 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
  3. その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき。

この3つが法律に記載のある要件となっています。

①滞納処分をすることができる財産がないとき。

文字通り、徴収職員が財産を調査しても、差し押さえできる財産が無いことを言います。

  • 銀行の預金
  • 解約返戻金が出る生命保険
  • 差押可能金額が算出される給与
  • 抵当権の付いていない不動産
  • 抵当権が付いていても残債が僅かな不動産
  • 売れそう(高価)な動産

これらが無いと判断されたということです。いつの判断かというと、滞納処分の執行停止の判断をするときに財産が無い場合です。

はぴらきママ
はぴらきママ
将来的にまた、会社に勤めだしてお給料をもらうだろうと思っていても、、無職で差し押さえできる財産が何もなければ、滞納処分の執行停止に該当するということだね。
はぴらきパパ
はぴらきパパ
そうです。まだ若いとか、そのうち差し押さえできるだろうという推測だけで、執行停止の判断を先延ばしにしてはいけないんだよ。

②差し押さえすると、生活困窮に陥るおそれがあること

差し押さえできる財産はあるけれども、その財産を差し押さえしてしまうと、生活困窮する恐れがある場合のことです。

預貯金があるけれども、給与振込専用口座であったり、児童手当の振込口座であったりする場合です。

例えば、万が一その預金口座などが差し押さえされた場合に、生活保護を受給しないと生活できないようになってしまう場合となります。

差し押さえして生活困窮になると本末転倒ですので。

③差し押さえする財産が無く、滞納者本人の所在が不明であること

差し押さえする財産も発見できなくて、さらに、滞納している本人の所在が掴めない場合です。

若干、上の「差し押さえする財産が無いこと」と被っていますが、上は滞納者の所在が分かっている場合です。

滞納している本人の所在が不明で、差し押さえできる財産がある場合は、滞納処分の執行停止とはなりません。

滞納処分の執行停止には申請制度は無い

「執行を停止することができる」とは、法第153条第1項第1号から第3号までのいずれかの理由に該当する場合には、滞納者の申請に基づかないで、税務署長もしくは地方団体の長(市長とか町長とかです)が職権をもって滞納処分の停止ができることをいいます。

したがって、滞納者は、滞納処分の停止を受けないことについて不服申立て又は訴えを提起することができません。

申請は出来ないが、自ら示した方が得策

はぴらきパパ
はぴらきパパ
滞納者の方々の生活状況など隅々まで把握することは不可能です。自ら提示してくれた方が、滞納処分の執行停止となりやすいです。

少しだけ滞納している人から高額滞納者まで、数多くの滞納者がいます。1人1人管理するのはどこの自治体も不可能となっており、それ故に滞納処分の執行停止という判断は慎重に行いますので、たとえ滞納者自身が本当に財産が無く、滞納処分の執行停止に該当していても、滞納処分の執行停止と自治体が判断するにはかなりの労力と時間が必要になってきます。

滞納者自らが、生活状況などを提示することで、生活状況の把握が断然早くなります。

把握が早くなると、滞納処分の執行停止の判断も早く下せます。

家計簿があれば提出してほしい

はぴらきパパ
はぴらきパパ
いつも滞納されている方に聞きます。家計簿を提出できますかと。ほとんどの滞納者は家計簿をつけていません。いわゆる「どんぶり勘定」で生活しているのが実情です。

私がよくお願いするのが、家計簿の提出です。収入と支出が表になっているため、生活状況が楽に把握できるからです。しかし、実際提出する人はほとんどいません。

その場合、今後毎月家計簿をつけるように指導します。収入、支出には証拠資料(レシートなど)を全て添付させます。それを毎月提出させます。

最初の2か月で内容を聞き取り、不必要な支出が無いか確認し、不必要な支出ではないかと思えば、何故その支出が必要かを聞き取ります。それと同時に生活状況を改善するように指導します。

生活状況が改善されないようでしたら、強制執行せざるを得ないので、改善しないということであれば、差し押さえなどを行っていく旨を伝え、家計簿の提出を終了します。

改善され、最大限努力された金額を毎月納付していると判断できれば、当然差し押さえは控え、自主的な納付をお待ちすることになります。

自主的な納付で将来的に完納する場合は滞納処分の執行停止をする必要はありませんが、自主的な納付を待つだけでは、完納を迎える前に時効が到来してしまう場合には、滞納処分の執行停止を全部もしくは一部に行うようにしています。

滞納処分の執行を停止の旨を滞納者に通知しなければならない

「滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない

法律にはっきりと「通知しなければならない」と記載されています。

しかしながら、多くの地方自治体では通知を行っていません。

はぴらきママ
はぴらきママ
しなければならないのにしていないの?なんで?

通知しない主な理由は、通知しなくても滞納者に不利益が無いからです。

通知すれば納税しなくなる滞納者がでてきます。納税しなくていいとは言ってません。納税は義務です。納税できるのであればしなければなりません。

だからといって通知しないのは明らかな違法行為ですが、通知しないことで損害を受ける人はいないので、損害賠償請求とかはされません。今後通知するようになるだけかと思います。

滞納処分の執行停止を理解した上での相談方法

本当に納税が苦しい滞納者の方へ、滞納処分の執行停止になるかもしれない上手な相談方法を伝授します。窓口に相談に行った際に番号順に聞いてみてください。また、自ら1か月間の家計簿や収支表を作成し持参してください。

①持参した家計簿を見せて、税金の納付が月にこれだけしかできないと示す。

これは、生活状況を提示することにより、本当に納税が厳しいんだなといった印象を徴税吏員に持ってもらうためです。まずは、生活が厳しいということをアピールしましょう。

②給与明細書を提示し、「差し押さえされたらどれだけ差し押さえされるんですか?」と聞く。

給料明細を持参し提示します。給与には「差押可能金額」といった、差押したらどれくらい差押できるのか算出する計算式があります。徴税吏員の方に給与明細を示し、給与の差押可能かどうか判断をしてもらいます。

例えば差押可能額が2万円算出されましたと言われれば、2万円は納付するようにしてください。

差押可能額が算出されない場合は、滞納処分の執行停止と判断されるチャンス!!

③「私は現在滞納処分の執行停止中ではないですか?」と聞く。

通知を送っていない自治体が多いので現状を把握するため聞く。通知自体送付しなければならないものであるため、万が一「教えることが出来ません」と言われたら、「通知しないのは違法ですよね」と言ってください。

滞納処分の執行停止中であった場合は、今後通知を郵送するように伝えておきましょう。万が一財産が判明した場合、滞納処分の執行停止の解除通知が届くから分かり易くなります。

滞納処分の執行停止中では無い場合

④現状滞納処分の執行停止となりませんか?と聞く。

自分自身から聞くパターンです。現状説明、給与明細書の提出が終わったら聞いてください。「なりません」と言われるか、「わかりません」と言われると思います。その場合は…

⑤どんなことを示せば滞納処分の執行停止となりますか?と聞く。

追加書類が要るのかどうか、またはどういったものが必要なのか自ら徴税吏員に聞いてみてください。指示があれば素直に従いましょう。

⑥1週間後にまた結果聞きに来ます。と伝える

結果を1週間後に聞きに来る旨を伝える。滞納処分の執行停止となれば通知を送付するよう伝える。

まとめ

以上、滞納処分の執行停止という法律があることをお伝えしてきました。

この法令は、一般市民はほとんど知りません。徴収職員も自ら教えることでもないので、言いません。

申請は出来ない制度でありますが、滞納者自ら生活状況を示すことにより、滞納処分の執行停止となりやすいのではと思っています。

滞納処分の執行停止の通知も本来であれば通知しなければならいと明記されているが、殆どの地方自治体では通知を行っていない

生活状況を把握するためにも家計簿の提出をよろしくお願いします。

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